娘がアトピー性皮膚炎と診断されステロイドを塗っています。義母から「ステロイドを塗ると皮膚が黒くなるんじゃないの?」といわれたのですが、本当ですか。
A.ステロイド外用薬で皮膚が黒くなるというのは誤解。赤みが引いて炎症後の色素沈着が目立つからです。
ひどい炎症を起こした皮膚や、アトピー性皮膚炎などで慢性的に炎症を起こした皮膚は、治癒の過程で一時的に茶色っぽくなることがあります(炎症後の色素沈着)。ステロイド外用薬を塗ることで、炎症が治まり皮膚の赤みがスッと引くと、もともとあった色素沈着が目立って見えるために、「ステロイドを塗ったら皮膚が黒くなった」と勘違いされやすいようです。
炎症後色素沈着症は、ステロイド外用薬の塗布とはまったく関係がなく、炎症が落ち着けば半年から1年ほどかけて徐々に消えていきます。炎症が治まった後、しばらく茶色っぽい色素が残って治癒するという過程は、アトピー性皮膚炎などにかぎらず、水疱をともなうようなヤケドや、ニキビをつぶしてしまった後でも同じなので、想像がつくのではないでしょうか。
ステロイド外用薬について、正しい知識をもたずに「強い薬、怖い薬」というイメージをもって敬遠する方がいますが、正しく使えば、短期間でしっかりと炎症を抑える効果が期待できます。使うべきときは使い、症状のないところに使わなければ良く、症状によっては弱いステロイド外用薬に変えて徐々にやめる方向にもっていけば問題ありません。
もちろん、ステロイド外用薬は使い方を間違えれば副作用が起こります。顔や首など皮膚が薄いデリケートな部分では、皮膚が萎縮したり、毛細血管が拡張して赤みが出るといった副作用が比較的出やすいため、弱いステロイド外用薬を使用します。
また、アトピー性皮膚炎の場合、顔には皮膚の萎縮を起こさないプロトピック外用薬を併用することが近年治療の主流となっています。