数年前から背中にできものがあり、少し大きくなってきました。触っても痛くなく、ネットで調べると粉瘤(ふんりゅう)という良性腫瘍のようなので、放置しているのですが……。
A.粉瘤は痛くなってからの治療では遅いので、小さいうちに摘出しましょう。
粉瘤は、聞きなれない病名かもしれませんが、誰にでも、体のどこにでもできる、とてもポピュラーな「できもの」です。原因は体質によるもので、アカなどの老廃物が皮膚の下にできた袋状のものにたまって徐々に大きくなります。
特徴は、できものの中心に黒っぽい点(開口部)が見えること。また、中にたまった白色粥状のものが特有の臭さを持つことです。
診断の際は、視診、触診(触るとゴロッとしている)に加えて、超音波検査で皮膚の中に袋があるかを確認します。
治療は、摘出手術するしかありません。粉瘤は時間とともに大きくなるので、早めに摘出したほうが傷も小さくてすみます。しかし、自壊(袋が自然に破裂)したり、細菌感染を起こすなどして赤く腫れ上がってしまうと、治療は大変になります。一度切開排膿(はいのう)し、炎症が落ち着いてから改めて袋ごと摘出する根治手術が必要になることが一般的です。
また、痛くないからといってニキビのように手でつぶしてしまう人がいますが、中身を出すと一見小さくなるものの、中の袋を取り除かない限りは再発します。つぶす行為自体、細菌感染を引き起こす恐れがあるので厳禁です。
粉瘤の手術は、1つにつき30分から1時間ほどです。粉瘤の癌化は極めて少ないですが、摘出したものは念のため病理検査を行ないます。