60代の女性です。若い頃に比べてまぶたが垂れてきて、視界がせまくなったように感じます。まぶたの皮膚がたるんだ見た目も気になりますが、目の疲れと頭痛に悩まされています。
A.頭痛、肩凝りなどの症状があれば、「眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)」の疑いがあります。
まぶたのたるみは、年をとると誰にでも起こります。しかし、単純に皮膚が余って垂れてくる「皮膚弛緩症(ひふしかんしょう)」とは違い、眼瞼下垂症は、まぶたの内側にある腱膜の異常によって起こるもので、れっきしとした病気です。
「眼瞼下垂症」の症状には、慢性的な頭痛や肩凝り、目の奥の痛み、不眠、うつなども含まれます。一見、まぶたとは関係のなさそうな症状ですが、まぶたがたるんで視野が狭くなると、一生懸命に眉を吊り上げてみようとします。すると、目の周りや顔面、頭部の筋肉が緊張状態になり、頭痛や肩凝り、目の奥の痛みの原因となるのです。さらに、まぶたを持ち上げるミューラー筋は自律神経と連動しているため、強く働かせることで、不眠、うつなどを引き起こすと考えられています。更年期障害と年代や症状が重なるため、まぶたが原因と見過ごされがちですが、注意が必要です。
自己チェックの手段として、20代のときの写真と比べてみましょう。まぶたの下垂が進んでいる、一重だった人が二重まぶたになった、二重の人は幅が広くなったり三重、四重になった、おでこにシワができたなども眼瞼下垂症が疑われる変化です。
また、花粉症などでよく目をこする人やコンタクトレンズをしている人、逆さまつ毛の人は眼瞼下垂症になりやすいといえます。
いわゆる老け顔を改善するための美容目的ではなく、頭痛や肩凝りなどの症状に悩み、日常生活に支障をきたしている場合は、保険適用の手術で治療します。局所麻酔で、手術時間は両目で1時間ほど。入院の必要はありません。