足の裏に皮膚の隆起があり、家族からイボではないかと言われています。治療はどんなものがありますか?
A.イボだと思っていても、イボではない疾患の場合も。病院で受診して適切な治療をしましょう。
イボは正確には尋常性疣贅(ゆうぜい)という病名で、ヒト乳頭腫ウィルスの感染によって発症します。放置しておくと大きくなったり、数が増えたり、足から手、手から足などにうつります。イボに似た疾患にタコ(胼胝腫・べんちしゅ)やウオノメ(鶏眼)がありますが、これらは人にうつりませんし治療法も異なりますので、正確な診断が大切になります。
タコとウオノメは「靴が合わない」「立ち仕事が多い」など外からの刺激によって、皮膚の角質が反応して部分的に厚くなったものです。まずは、厚くなった角質を削ります。これで改善すればタコです。芯が中心に残っている場合はウオノメになります。タコはざっと削るだけで痛みなどもとれますが、ウオノメはしっかりと芯を取らないと症状が改善しません。
イボは削ってみると点状の出血や黒い血の固まった点が観察されます。疣のある組織を液体窒素で凍らせたり、モノクロロ酢酸という薬品を塗って腐食させ、ウィルスのある組織を脱落させて正常組織に入れ替えます。
また、治療に時間を要する場合などに補助治療として「ステリハイド」という薬を塗る方法もあります。本来ステリハイドには手術器具を消毒する薬で、タンパク質を凝固変性させ、ウィルスの不活性化と殺菌作用があります。液体窒素が痛い、モノクロロ酢酸の治療効果が出にくい方に併用療法として自宅で塗っていただく治療です。
このようにタコとウオノメとイボは、見た目は似ていても診断によって治療法が異なります。よく市販のスピール膏(「イボコロリ」など)を塗っても治らないと来院される方がいますが、この外用薬が有効なのはタコのみです。ウオノメの芯の周囲を柔らかくして芯を取りやすくすることができますが、ウオノメはあくまでも芯を取らないと治りません。また、ウィルスが原因のイボはシート状のスピール膏を貼るとウィルスを閉じ込めてしまい、悪化することがあるので注意が必要です。