形成外科は、整形外科とどう違うのですか? どんなとき、どのお医者さんを受診すればいいのか、わかりやすく教えてください。
A.形成外科は、体表面の病気の治療を通して“クオリティ・オブ・ライフ”をサポートする科です。
形成外科というと、まず美容をイメージする人がいますが、美容は形成外科の一分野にすぎません。形成外科の治療には大きく分けて、以下の4つがあります。
- 外傷
- 腫瘍・再建
- 表在性先天異常の治療
- 美容外科
体の表面にある異常や変形を治したり、失った機能や体の一部を新たに作ることで、患者さんが社会復帰するのを助け、生活の質を向上させることが大きな役割です。
いっぽう、整形外科は、歩く、座るなどの日常運動をする上で支障をきたす病気、つまり骨、関節、筋肉などの病気を扱う科で、形成外科とはまったく診療内容が違います。
前にあげた形成外科の4つの診療内容のうち、1.の外傷は、体の浅い部分の傷の治療です。たとえば、擦り傷、切り傷、やけど、顔の骨折、それに交通事故などで皮膚がはがれてしまった場合なども治療します。形成外科では、患者さんの見た目もできるだけよくしようと考えて治療をしていますから、傷痕ができるだけ目立たないような特殊な縫合を行っています。
2.の腫瘍・再建では、体の表面の腫瘍をきれいに切り取ります。また、他の科の手術で失われた組織の再建、たとえば乳がんの手術後に乳房を作ったりもします。
3.の表在性先天異常とは、体の表面の形や色に関する生まれつきの異常をさします。くちびるが割れた口唇裂や、耳、鼻、手指などの形を治したり、赤あざ、青あざ、茶あざなどの治療もします。この治療は生後まもなく始めるほうがよいでしょう。赤ちゃんのうちに治すことは子どもの将来のためになるだけでなく、お母さんの現在の安心のためにも大切です。
4.の美容外科は、老化による症状など、人をより美しくする分野です。
このように、患者さんが一刻も早く幸せに暮らすための治療をして、“クオリティ・オブ・ライフ”をサポートする診療科が形成外科です。