70歳の女性です。冬になると肌がひどく乾燥して、膝から下に亀甲状のヒビが入り、かゆくなります。粉をふいて、タイツを穿くときひっかかることもあります。
A.高齢者の皮膚の乾燥・かゆみは、「皮脂欠乏性皮膚炎」によるものです。
乾燥が原因で、皮膚の表面が粉をふいたようにカサカサになったり、しばしばかゆみを伴う皮膚炎を皮脂欠乏性皮膚炎といいます。かゆみによって強くひっかいてしまった場合、二次的に赤いブツブツができて湿疹化し、時間がたつと色素沈着して黒ずむこともあります。腰からお尻、太もも、ヒザから下にかけて発症しやすく、スネには、相談者の方のように、亀甲模様の亀裂やシワがよく見られます。
老化現象によって、皮膚機能や皮脂分泌量が低下することから、高齢者によく発症します。ただし、若い人でもアトピー性皮膚炎を基礎疾患にもっている場合は、発症・悪化しやすく、注意が必要です。
「皮脂欠乏性皮膚炎」は、視診により診断がつきます。
治療では、塗り薬として、乾燥を防ぐ保湿剤を処方し、入浴後5分以内に塗って水分を閉じ込めるようにします。赤みが出ている場合は、ステロイド外用薬やステロイドテープを1週間ほど短期で使用して炎症を抑えてから、保湿ケアに切り替えます。かゆみがある場合は、抗ヒスタミン・抗アレルギー薬の飲み薬を処方し、まずはかゆみを抑えます。
秋から冬には、空気が乾燥し、気温の低下とともに皮脂分泌量が減ると、皮脂欠乏性皮膚炎は悪化しやすくなります。毎年症状を繰り返している人などは、日々の保湿を心がけ、症状が出始めたら早めに受診して、医師の指導を受けるようにしましょう。
また、皮膚の乾燥・かゆみを助長する長湯や熱めのお風呂を避ける、ナイロンタオルでこすらない、こたつに長く入らない、肌にやさしいコットンの肌着を用いるなど、日常生活でできる予防も取り入れましょう。